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人のとなりに 2026年02月10日更新
人のとなりに

人のとなりに 羽島 奈穂(はしま なほ)さん

# 拉致問題
人のとなりに 羽島 奈穂(はしま なほ)さん

「ただいま」その声を待ち続ける人がたくさんいる。北朝鮮による日本人拉致問題は、いまだに解決していない現在進行形の人権侵害。 政府主催の「北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール2025」で、本市の高校生が最優秀賞を受賞した。今回は、拉致問題の解決に向けて取り組む高校生の思いに寄り添う。

恐怖から挑戦へ

「自分の言葉で、多くの人に『北朝鮮による日本人拉致問題』について考えてほしいと思い、作文を書いた」と話すのは、川内高等学校2年生の羽島奈穂さん。

拉致問題を初めて知ったのは中学1年生のとき。「恐怖が勝って、自分に何ができるのか分からなかった」と当時を語る。転機は中学3年生。先生から「拉致問題に関する中学生サミット」があることを教えてもらった。参加を目指して資料を集め、勉強したが、当日台風により参加することができなかった。しかし、その日のニュースで、拉致被害者家族の市川健一(いちかわけんいち)さんの特集を目にした。「直接話を聞きたい」と強く思った羽島さんは、知人などを通じて市川さんに会うことができた。「まだまだ知らないことが多いと感じた。市川さんの話を聞いて、資料からは分からない家族の感情を知ることができた」という。その経験を作文にまとめ、中学生部門で最優秀賞を受賞。最優秀賞を受賞すると政府主催の拉致問題に関するシンポジウムで朗読する機会がもらえたが、「自信がなく、不安が大きかった」と振り返る。

その後、「賞を取っただけで終わりたくない」という思いから、署名活動などの取り組みを始めた。高校1年生で再び作文コンクールに応募し、優秀賞を受賞。さらに高校2年生で三度目の応募した際には、最優秀賞を受賞した。このとき、気持ちは大きく変わっていたという。「これまでの活動で自信が付き、 受賞したときは『自分の言葉と感情で伝えられる』と強い気持ちだった」と語る。

「絶対帰る」その思いを胸に

羽島さんが中心となって取り組んでいるのが、「鹿児島ブルー リボン かえるの会」。「今、伝えないといけない」という思いで立ち上げ、県内の中高生10人で活動している。会の名前には、市川さん宅にあった「絶対帰る」と書かれたカエルの置物に込められた願いが反映されている。

さらに令和7年の夏、「高校生による若者向け拉致問題勉強会」を開催。設立当初4人だった仲間も、勉強会などの活動を通じて増えていった。「周りの人たちの声掛けや自分の作文を朗読する機会が増えることが、拉致問題について少しでも考えてもらえていると感じてうれしい」と話す。一方で、多くの若者が「知らない、分からない」という理由で問題に目を向けない現状もある。「他人事ではない。当たり前は簡単に壊れてしまう。今ある日常を送れる尊さを考えてほしい」と強く語る。

勉強会での集合写真

風化させない

羽島さんが、実際に拉致現場を視察して感じたのは、「本当にここで拉致されたのか」と疑うほどの穏やかさ。「風化させないためにも、拉致問題について家族や大切な人と話してほしい、自分や大切な人が突然いなくなってしまう、その状況を想像してほしい。そして大切な人に会える幸せを忘れないでほしい」と呼び掛ける。

今後も拉致問題の解決に向けて取り組みたいと語る羽島さん。「薩摩川内市の人の温かさが好き。将来も地元に残って、自分が学んだことを次の世代に伝えていきたい」とこれからの意気込みを話してくれた。

「人のとなりに」とは...

文字通り、その人の隣にいて、思いに寄り添うことや人柄を表す言葉「人となり」をイメージしたコーナーで、人物や活動の紹介だけでなく、その人の思いにスポットを当てることを目的としています。

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