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2025年12月09日更新

藺牟田池ラムサール条約湿地登録20周年

# 藺牟田池
藺牟田池ラムサール条約湿地登録20周年

2005(平成17)年11月8日に条約湿地に登録された藺牟田池は、周囲を標高450から500m前後の外輪山に囲まれた火口湖です。火口湖とは、火山の噴火で陥没した部分に雨水などがたまってできた湖で、カルデラ湖とも呼ばれています。

藺牟田池の西側の3分の1は湿原化しており、多数の泥炭(でいたん)質の浮島が見られます。この浮島は、イネ科やカヤツリグサ科の植物が枯れて完全に腐らずに堆積し、炭化したものです。北方の寒冷な高層湿原ではしばしば見られますが、低層湿原では極めて珍しいことから「泥炭形成植物群落」として国の天然記念物に指定されています。

ラムサール条約とは

正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」です。

1971(昭和46)年にイランのカスピ海湖畔にあるラムサールという町で採択されたことから、「ラムサール条約」と呼ばれています。

現在は水鳥の生息地だけでなく、広く生態系にとって重要な湿地を保全するための国際条約となっています。また、湿地の保全だけでなく、世界的に認知された湿地を上手に活用していこうという「賢明な利用(ワイズユース)」も提唱されています。

希少なベッコウトンボ

池の西側にある湿原は、絶滅が危惧されるベッコウトンボをはじめ、たくさんのトンボの産卵や羽化の場として、とても貴重な場所になっています。

ベッコウトンボは、体や羽の色がその名のとおりベッコウ色であることが特徴です。しかし、ベッコウ色なのはヤゴから羽化してトンボとなった未熟な時期だけで、成熟すると黒色になります。

藺牟田池のベッコウトンボは4月中旬頃から6月下旬頃に見られますが、最も多く見られるのは4月下旬から5月上旬です。

地図情報

 Google マップ

  • 標高:295m
  • 水深:約3.5m(最大)
  • 面積:約60ha

記念フェスタとマルシェを合同開催!

藺牟田池ラムサール条約湿地登録20周年記念フェスタ応援アンバサダーにインタビュー!

新村和樹(しんむら かずき)氏/ずっきー

Instagram

鹿児島県庁に勤務。仕事とは関係なく、ほぼ毎週藺牟田池に足を運び、藺牟田池を盛り上げる取り組みを進める。
アンバサダー就任の目玉企画として、国内54カ所のラムサール条約登録湿地を巡って全国に藺牟田池をPRするという前代未聞の旅へ。北海道のクッチャロ湖とサロベツ原野からスタートし、約半年で19カ所を訪ねた。

アンバサダー就任時の思い

最初は勝手に「藺牟田池アンバサダー」と名乗って、好きという一心だけで始めた活動だったので、驚きと感謝の気持ちでいっぱいでした。

うれしさと同時に、これまで温かく受け入れてくださった地域の皆さん、そして「ずっきー」と笑顔で駆け寄ってくれる子どもたちの顔が浮かび、この素晴らしい薩摩川内市の魅力をしっかりと伝えていく責任に身が引き締まる思いでした。

藺牟田池の魅力とは

私にとって藺牟田池は、ただの「きれいな自然スポット」ではなく、「自分と向き合える場所」です。

火口湖を7つの外輪山が城郭のように囲む雄大な景色は、訪れるたびに日常を忘れさせてくれます。

子どもの頃は家族と訪れた「何でもできる特別な場所」でしたが、大人になって改めて訪れると、むしろ「何もしなくてもいい場所」だと気付きました。藺牟田池は、行くたびに新たな発見があります。そして、世代を超えて楽しめる薩摩川内市の宝物です。

今後の藺牟田池の未来とは

ラムサール条約登録湿地としての「保全」と、地域のにぎわいを生む「賢明な利用」の両立が未来の鍵です。

未来を担う子どもたちが、大人になったとき、自信を持って「藺牟田池は素晴らしい場所なんだ」と語れる未来の土台を、皆さんと一緒に作っていきたいです。

おすすめの過ごし方

私の一番のおすすめは、あえて目的を決めずに、湖畔に座ってのんびり過ごすことです。特に、キャンプ場付近から眺める、風のない日の水面に映る「逆さ藺牟田」は、思わず息をのむ美しさです。ぜひ、自分だけのお気に入りの時間と場所を見つけてほしいです。

全国に藺牟田池の名を広めたい!

現在、仕事の関係上県外で勤務しているため、藺牟田池を訪れる機会が減ってしまいました。そこで、離れた場所からでも20周年を盛り上げようと藺牟田池を広める活動をしています。

その名も、「ずっきーのラムサール条約湿地 国内54カ所ぜんぶ行く!」。いつものピンクのTシャツを着て行き、藺牟田池を全身でアピールしています。現地で出会った方々との会話の中で、「今度、藺牟田池に行ってみよう」と言ってもらえることにうれしさを感じています。

新村さんイチ押しの写真(竜石(たついし)からの景色)

松若隆幸(まつわか たかゆき)氏

Instagram

撮影や魚釣り、ドローン操縦などを趣味とし、カメラとは高校時代から約50年間の相棒。
今はカメラ好きの仲間と「写活」をし、約10年前から藺牟田池の四季を撮影する。市内の美しい風景をカメラに収め、県内で写真展を開く。

アンバサダー就任時の思い

これまでも藺牟田池の四季を撮影し、SNSや写真展を開くなどして、魅力を発信してきました。

アンバサダーに就任し、さらに藺牟田池の魅力を発信していきたいと思いました。

藺牟田池の魅力とは

やはり、四季の美しさ、自然の豊かさ、動植物の宝庫であることです。

春は山桜やソメイヨシノが乱れ咲き、アジサイが湖面に映る。夏は、湖面を吹き抜ける風が涼しくて、初秋は、旅する蝶「アサギマダラ」が乱舞。秋の紅葉、冬は外輪山の雪化粧。四季折々の自然を感じ、散歩やサイクリング、外輪山トレイルができることは最高の魅力です。

今後の藺牟田池の未来とは

市内外の方がもっと多く訪れる観光地になってほしいです。そのためにも、マルシェやマラソンなど一年中楽しめて、人でにぎわう藺牟田池にしていきたいです。

おすすめの過ごし方

6月のヒメボタル、10月のアサギマダラの乱舞はぜひ体感してもらいたいです。また、サイクリングやボートなど、藺牟田池の四季を近くで体感してほしいと思います。

アサギマダラ

藺牟田池の自然を広めたい!

今年は6月に鹿児島で初となる「ヒメボタル観察会」と、10月には「アサギマダラ観察会」を企画し、開催しました。ヒメボタルは、川辺などの開けた場所ではなく、森林内などの人目につきにくい場所で発光する、あまり知られていない珍しいホタルです。ご覧になられたたくさんの方が感動されていました。アサギマダラは10月に本州から南の島への旅の途中に藺牟田池に寄ってくれます。今年は、約60頭のアサギマダラが栄養補給と羽を休めに寄ってくれました。

藺牟田池にすむ貴重な動植物の魅力を県内各地のたくさんの参加者に伝えることができて良かったです。

松若さんイチ押しの写真(水面に映る藺牟田池)

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